今夜月の見える丘に

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――――― 紅魔館に侵入……お邪魔した私は、通路を抜け、ロビーへと辿り着いた。 しかしこの館は、絨毯から壁から、赤尽くしだ。目が悪くならないのか? 「あの~、誰か……!?」 突然、私の周囲に無数のナイフが現れ、一斉に向かってきた。 私は咄嗟に飛び、ナイフの隙間を縫って回避する。 こんな芸当が出来るのは……あの人くらいしか居ないだろう。 「へえ、少しは出来るみたいだけど……ここから先は通さないわ」 ロビー内に声が響き、私の目の前に一人のメイドが現れる。 そしていつの間にやら、投げられたナイフは全て消えていた。 「おっと、スペルカード戦で不意打ちは御法度じゃない?『十六夜咲夜』さん」 私はそのメイド――瀟洒な従者――に向け、言い放った。 「今のは通常弾幕よ。私にとって、時止めは十桁覆面算より容易いのよ」 「例えが微妙ね……」 「とにかく、部外者にお嬢様の邪魔はさせないわ」 咲夜はそう言うと、消え、私の背後に回り込んでクナイとナイフを投げてきた。 私は上に飛び、弾幕を張って応戦する。 幾ら時を操れると言っても、投げた物まで意のままという訳にはいかない。 時間が停止した状態で投げられた物が他に接触することはなく、全く回避不能になることも無いのである。 外の世界で読んだ漫画に、そんな設定が確かあった。 「やるわね、なら……」 彼女は言うと、得物をナイフからスペルカードに持ち替えた。 「面白い……!」 私もまた、対抗するようにスペルカードを懐から抜き去る。 ロビーの被害?さあ、知りませんね。 「メイド秘技、殺じ……」 「混沌、キマイ……」 「あれ?何やってるの?」 「「!?」」 突然聞こえてきた無邪気な声が、詠唱をストップさせた。 私達は、その方向を向く。 そこには、何というか、案の定な少女が居た。
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