今夜月の見える丘に

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「お、お嬢様……!」 「あら、フランちゃんじゃない」 私達はそれぞれ、突然現れた金髪赤服の少女に向け言った。 その少女こそ、ここ紅魔館の主『レミリア・スカーレット』の妹『フランドール・スカーレット』だ。 彼女は、好奇心たっぷりな目で私達を見つめる。 ……それより、彼女こそ私の用件の対象なのだ。面倒になる前にこなさなければ……。 「あっ、誰かと思えばメルティ!ねえ、弾幕ごっこし……」 「ちょっと待った」 彼女が右手の杖を振りかざした瞬間、私は言葉で制し、彼女へと詰め寄った。 「ほら、約束してたこないだの続き……色々持ってきてるよ」 「あ、そうなの?こないだの続きね!」 フランもまた、私に近づいてきた。 私は帽子を取り、その中に手を突っ込む。 「……お嬢様、この方をご存知で?」 呆気にとられていただろう咲夜が、怪訝そうに尋ねてきた。 「ええ、メルティ・ポットって言うのよ。前私が外に出た時遊んでくれたの」 フランはそれに、相変わらず臆面なく答える。 実は、前に私が適当に飛び回っていた時、たまたま会って一緒に居た事があったのだが……なるほど、言ってなかったか。 「そうでしたか……今度から、外出するときは必ず言ってくださいね」 咲夜は呆れた様子で、しかし改まって言った。 館のお嬢様との用なのだ。邪魔出来る筈がなかったのだろう。 「あったあった、はい、AC(Armored Company)にKOF(the King Of Flighters)ね。あとウィイレ(Winning Eraser)もあるよ」 私は帽子の中から、数枚のケースを取り出す。 それを見た瞬間、フランの目が輝いた。 「やった、約束通りね!私の部屋でやろう!」 「……ゲームソフト?」 言うが早いか、フランは私の手を引いていく。 一方、咲夜は色々な意味で予想外だったのだろうか、拍子が抜けたような声を上げた。
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