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「久しぶりね、お二人さん。ほら、テレサも挨拶なさい」
「あ、はい……こんにちは、霊夢さんに魔理沙さん」
仲のよい親子のように手を繋いだまま、テレサは頭を下げた。
「こちらこそこんにちは。折角だから、参拝でもしていきなさいよ」
霊夢はそう言って返すと、さり気なく賽銭を要求した。
ここ博麗神社は、天人の仕業で一度倒壊しており、再建後間もないのである。
故に、神社の懐も火の車に近かったのだ。
もともと参拝客が多かったわけではなかったが、今はまさに、化け猫や火車の手も借りたいぐらいであろう。
「そうさせて貰うわ。もともとそのつもりで来たんだし」
メルティは軽いテンションで言うと、テレサの手を引き、神社の本堂へと登った。
直後、チャリンという小銭が投げ入れられた音が鳴り、ガラガラ、パンパンという馴染みのSEが鳴り響いた。
「神主様どうか……一攫千金、大願成就、立直一発……」
続けて、煩悩丸出しのメルティの声が聞こえてきた。
その隣のテレサもまた、それに追従するように小声で何か言っている。
「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」
霊夢はそう思いつつ、茶をすすった。
だが奇妙な事に、横の魔理沙は額に汗を垂らしたまま、茶を飲もうとしない。
普段からすれば有り得ない事だ。
「どうしたの?オチャヲノンダラシンジャウ病にでもかかった?」
「違うって、オートバイこぞうじゃあるまいし。……私、この前アイツに殺されかけたんだよ」
「おいおい、弾幕勝負で殺人なんて有り得ないでしょ?」
魔理沙の発言を受け、祈願を済ませたメルティは振り返って言った。
「何言ってんだよ、ありゃあどう見ても本気だったろ。恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……」
魔理沙は未だに身体を震わせながら言う。
メルティは余裕あり気に、その隣に腰掛けた。
テレサも従順に、並んで縁側に座る。
「ああ、あの時は逃げられちゃったからなあ。あんたも仕留められないようじゃ、私も修行不足ね」
「サラッと酷い事を言うなよ……私はその辺の雑魚か?自分で言うのもなんだが、それなりに異変も解決してるんだぜ」
「あ、そうなの?『普通の魔法使い』なんて言うから、普通の小ボスみたいなのかと思ってた」
適当な会話を、二人は繰り広げた。
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