純情アクション

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「あ、そうそう」 突然、メルティは帽子を頭から降ろすと、その中から数冊のハードカバーの本を取り出した。 「これ、あんたに。なんとなく好きそうだと思ってさ」 「……へ?」 メルティはそれらの本を、魔理沙へと手渡した。 当然、魔理沙は呆気に取られたような表情を作り、恐る恐る受け取ると表紙を概観した。 「なんだこりゃ、魔導書……?」 魔理沙の目が、僅かに輝きだした。 彼女も魔法使いである以上、この手の本には興味を引かれるものであり、実際彼女の家には多数のストックがある(何処から持ってきたのかは不問としておくが)。 「この間外の世界に行ったとき、博物館っていう場所で珍しく見つけてね。能力でコピーして持ってきた」 メルティはそう続けると、更に帽子から何かを取り出した。 「霊夢にも、お土産ね」 「え、私に?」 彼女がそう言って差し出したのは、二つの湯呑みだった。 何れも、落ち着いた青の配色が特徴的であり、陶器独特の味わいと渋みを放っている。 「それも外の世界の、確か……砥部焼きとかいう湯呑みよ。良さそうだから買ってきた」 「あらら、こりゃどうも」 霊夢は確かな喜びを顔に浮かべつつ、それらを受け取った。それを見た、メルティの顔もまた綻ぶ。 同様に、テレサもまた嬉しそうな顔を作っていた。 「さて、用は済んだか……」 二人にそれぞれ手土産を渡したところで、メルティはすっくと立ち上がり、帽子を被り直した。 「あれ、もう行くの?」 霊夢は湯呑みから視線を移し、目を丸くしてメルティを見る。 「ええ、ちょっと悪魔と遊んでくる」 「「へ?」」 その突拍子もない発言に、二人は素っ頓狂な挙げる。 それを尻目に、彼女は羽根を生やし始めた。 「あ、あとテレサの面倒をみてもらってていい?」 霊夢の方を向いて、メルティは言った。 「別にいいけど……悪魔ってまさか」 「ありがとう、それじゃ!」 メルティは了承の返事を聞くと、直ぐ様飛び立ち、そのまま高速で消えていった。 神社に、ポカンとした様子の二人と、テレサが残されていた。 「……大変ねえ」 霊夢は誰に呼びかけるでもなく、率直に呟いた。 「まったくだぜ。で、何かして遊ぶか?」 「なら掃除対決でもしてなさい」 魔理沙は普段の調子に戻ったように言い、霊夢も冷ややかに言った。 それは、至極当たり前の光景だった。 しかしここ、幻想郷に於いては、それも一時期だけのものだった。
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