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「おとうさん、おきてよ~!?」
折角の睡眠が妨害される。
と言われても毎週訪れる休息優先の日曜日、素直に起きるなんて……こんなポカポカな布団を出るなんて考えられな……。
「むぅ~っ、ていや~!!?」
「ごふっ!!?」
ジャンピングボディプレスと言う余りにも純粋な何者かの襲来により、俺の意識は先程とは正反対で覚醒する事になったのだ。
布団の上でモゾモゾしているのは《遠野 瑠奈》今年で五歳になり幼稚園に通う我が愛娘である。
「おとうさん、いいかげんにおきて!?せっかくのやすみなんだから、おでかけしようよ~!!?」
布団を剥ぎ取られ、寝癖の付いた頭を軽く整えながら、瑠奈を抱っこして一階にあるリビングに向かう。
定期的に聞こえてくる包丁の音に朝の日曜はアニメがやっているようで、瑠奈は再びテレビの前で少女アニメに夢中になっていた。
「おはよう春日君。日曜だからって朝食を食べないなんてのはいけないんじゃないのかな?」
キッチンにはエプロンを付けた黒髪の女性
俺の世界一大切な女性で生涯愛すると誓った愛妻である。
春日の父親と奈津の母親が再婚して義理の姉弟になったわけなのだが、とにかく美人で年上の妻と言う所は周りから羨ましいと言われるのだが、ちょっとだけ残念なのは……。
朝食を運ばれた時に小さな声で耳打ちされた時が危険なのだ。
「今日は……楽しみにしててね」
そう……才色兼備、頭脳明晰、容姿端麗の奈津は誰もが認める程のドSなのだ。
結婚してから二人の間に瑠奈が眠った為に夫婦の営みは減ったのだが、代わりに朝や昼に迫られる事が多くなった。
だが、朝や昼になると。
ピンポーン
来客が来るのだ。
それも決まって日曜日、明らかに狙っているのではないのか?と疑問を抱く程のベストタイミングで来客が現れる。
「お兄ちゃ~ん、襲いに来たよ~!!?」
「春日~、先輩との秘め事に参加しても良い~?」
「春日様~、奈津さんに飽きたら私の屋敷に~!!?」
大急ぎで玄関に向かうさ、なんでかって?そりゃ……。
「朝から誤解を招くような発言は止めてって言ってるだろうが!?それに何でタイミング良く来るんだよ!!?」
そう言う事になるからだよ。
もう、近所からは誤解されてるけどさ、文句言われないのは刹那が居るからなんだろうね。
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