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 長く伸ばした髪に櫛をいれる。自慢だった長い髪。  二つにまとめて赤いリボンを結ぶ。赤い、赤い、リボン。  私はじっとその赤を見つめた。  忘れることのない痛み。 「由衣?早く」  やんわりと由布が促す。  同じ傷。  同じ痛み。 「ごめん、ごめん。すぐ用意するね」  私の返事に頷くと由布は朝食の準備をするよと軽く笑ってキッチンの方へ姿を消した。  ほどなくしてパンを焼く良い香りがしてきた。  愛しい日常の日々。  もう戻らない日々。
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