17人が本棚に入れています
本棚に追加
「由布」
私が声をかけると由布はエプロンを外しながらにこりと笑った。
「今日は目玉焼きとトーストだよ」
キッチンには良い香りがたちこめている。
朝の香り。
私は冷蔵庫を開けて牛乳をだした。永遠に縮まることのない私と由布の違いへの、これはささやかな抵抗。
しってかしらずか由布は苦笑を浮かべている。
コポコポとコップに注ぎながらトーストをくわえた。
「こら、お行儀が悪い」
途端に由布が頭をこつんと軽くはたいてきた。
キツネ色に焼けたトースト。
朝の光景。
そして今日は…。
最初のコメントを投稿しよう!