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 それは晴れた夏の日。  夏休み。デパート。屋上。双子。両親。  忘れない。  忘れられない。 「由布早く早く!」  長い髪をなびかせて少女は走っていた。お目当てはデパートの屋上。  時折後ろを振り返りながら手を降っている。  危ないよ。  …そんなに急いじゃあ。 「もう。あんまり走ったら転んじゃうよ。由衣!」  少女とそっくりな顔をした少年がため息をついて少女を追いかけはじめた。  …そっちは駄目だよ。
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