TAKE・1

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「ハーイ、御機嫌よう。 元気でやってくれてたかい?   2000年12月19日23時30分がやってきました。 真冬の夜に暖かい風を吹き込んであげよう。 今宵の一曲目は僕の曲からスタートします。 ザ・マラカスで9月のコロシアム」  ジリジリと電波の振動を孕み、タクシーのラジオから曲が流れ出した。 そのDJが歌う曲がモンドにはとても心地良く響いた。 深夜の街のネオンが視界に入っては消えていく。 このまま永遠に続きそうな道路。 アスファルトは街の水平線を突き抜け天空にまで舗装されているかのようだ。 疲労感と倦怠感が曲と風景に溶け込み、流れ去っていく。   「ちらりと真横に見えた、風に揺れた、ひまわりの花 いつまで咲いてんだ?」   その歌詞がメロディーと調和する。 とても心地が良い、とモンドは思った。 母親の胎内に戻ったらきっとこんな感じだろう。 暗い羊水の中での孤独と浮遊感を想像してみる。 完璧な静寂だ。 何も怯える必要もなく誰と喋ることもない。 そこは免疫で覆われた溜まりだ。 流れは止まっている。    沈黙。       暗闇。               無。 いつの間にかモンドは寝入っていた。
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