TAKE・2

2/3
前へ
/17ページ
次へ
 涼子は幼い頃から目が悪く、聴覚も人並みより劣っていた。 それが彼女の性格形成に影響したのか小学生の頃、 誰一人として打ち解けられる友達がいなかった。 父親は一人娘の涼子にはとてもやさしかったが、 母親に対しては暴力的だった。 涼子が寝る前には父親は必ず宮沢賢治の童話を読んでくれた。 涼子はその時の父がとても好きだった。 太く、低く、そしてやさしいその声は涼子をとても安心させた。 しかしある日、そんな夜が突然終わってしまった。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加