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「ねえ、あなたいつも一人で小難しい顔をして本ばかり読んでいるけど友達とかいないの?」
「ええ。」
「あなたって少し変わり者よね。
でもそういう私も友達いないけれど。
私節子っていうの。あなたは?」
「涼子。」
「ねえ、私達宗教概論の授業が一緒なの知ってた?
私二回しか出たことがないのよね。
よかったらあなたのノート貸してくれない?
あなたしっかりしてそうだから。」
「ええ、別にいいわよ。」
こうした一方的な出会いによって涼子にはやっと一人の友達が出来た。
まるで磁石のS極とN極のように正反対な性格の二人だったが、不思議と波長が合っていた。
二人の共通点は詩や小説が好きなことだった。
「ねえ涼子、シルビア・プラスっていう女の詩人知ってる?
彼女はね、ある詩の中でこの世で一番最低の死に方はオーブンに頭突っ込んで焼死することだって言ってるの。
そして或る日本当にその方法で自殺してしまうのよ。」
節子は破滅的な表現者達を好んだ。
涼子は節子を通して沢山の愛すべき人達を知った。
フィッツ・ジェラルド、ジム・モリソン、ジャニス・ジョップリン、
ランボー、ゴッホ、中原中也・・・・・。
しかし彼等は皆死んでいた。
今この瞬間に、私の上に広がるこの青い空を見ている誰かを愛せたらいいのに、
そう涼子は思った。
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