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「…もう一度聞く。何故女がここに居る」
男の人の声音は静かだけれど、先ほどよりも威圧感が増したのが感じられる。
そして、一段と鋭く殺気立った目が、
私を捉えている。
こ、怖い…
まるで、蛇に睨まれた蛙のよう。
どうしよう…
何か言わないと、このままじゃ本当に殺されそうだよ。
けど、話したところで、果たしてすんなり信じてもらえるんだろうか…。
土方さんも、最初すごく疑ってたもんね。
沖田さんは…別だけど。
普通なら疑って当然、
嘘のような本当の話。
でも、もうあれこれ
考えてる場合じゃない。
ここは正直に、本当の事を話そう。
それでもし、もしも最悪の事態になったら、
その時は…何とかして逃げよう。
出来るかどうか分からないけれど。
「…あ、あの実は…」
ごくりと唾を飲んだ後、
意を決して声を漏らしかけた瞬間。
「斎藤」
聞き慣れた声が、私の言葉を遮った。
声がした方へ視線を動かすと、そこには腕組みをした土方さんが立っていた。
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