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階段を上がった私は、リビングの電気のスイッチを手慣れた手つきで押した。
パチンッ
日が落ちて真っ暗闇だった部屋に、
白熱球の明かりが灯る。
暗さに慣れてしまった目には、
少しばかり眩い明るさだ。
手に持っていた、何冊もの教科書が入って重くなった紺色のスクール鞄と、学校からの帰宅途中、スーパーに立ち寄って買った三日分位の食材が入った袋を、木目調のテーブルの上に置いた。
「ふぅ、疲れた…」
重たかった荷物たちから、
やっと解放されほっと一息。
…というより溜め息に近い。
片方の掌を見れば、スーパー袋の持ち手の部分の痕が、朱く染まり線が入っていた。
食い込んでたし、
どうりで痛いと思った…。
一日の疲労感が一気にやってきて、
何とも言えない脱力感に襲われる。
疲れてしまった肩を拳で軽く叩きながら、私は制服のままカウンターキッチンに立ち、袖を捲って手を水道で洗った後、淡々と晩御飯の準備を始めた。
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