囚われし過去、冷たき雨と泪

4/19
前へ
/163ページ
次へ
今日の晩御飯は、クリームシチュー。 先ほど、スーパーで買ってきたブロッコリーやにんじんに玉ねぎを下拵えする為、まな板の上に並べて水洗いして切り始める。  トントントン…― まな板に規則正しく当たる包丁の音が、 静まり反った部屋に響く。 カウンターキッチンから見えるリビングには、中央にテーブル。 テーブルより少し離れた位置に、食事の時以外電源をつける事が少ない液晶テレビに、三人程が座れる白色のソファ。 そして部屋の隅にある観葉植物だけの、 生活感のあまり無い、至ってシンプルなリビングだ。 何気ない日常音の音でさえ、 この空間には寂しく響いてしまう。 それが余計に、虚しさが募る一方でもあった。  
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2531人が本棚に入れています
本棚に追加