囚われし過去、冷たき雨と泪

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私はこの一軒家で、 一人暮らしをしている。 おかげで、味はともかく、料理をする時の手際は、初めて始めた頃よりは良くなった…と思う。 部屋の数も広さも、一人で暮らすには充分過ぎるくらいだ。 おかげで休日は平日掃除しない分の、 家の掃除に手を妬く始末だった。 そして私は、4月で高校3年生になったばかりの、17歳。 私が一人で暮らす生活を送り始めて、 かれこれ三年が経とうとしている。 けれど三年前までは、今では広々としているこの家に、私の両親も居たのだ。 ソファに一緒に座り、テレビを見て笑って、一緒に食卓を囲んで笑ったりして。 ごく普通の、一般家庭で垣間見れるような光景が、確かにこの空間に存在していた。 存在していた筈、だった。 三年前までは、確かに…―。  
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