36 美女連環の計 (完)

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案の定、呂布はいた。 呂布は董卓と貂蝉・王允の姿を見つける。 二人はだんだん呂布に近づいて来る。 そして、呂布とすれ違う。 その時の呂布の顔は信じられないという顔で、目をむき、拳を握りしめていた。 すれ違う際、王允は 「助けて」 と、訴えるような顔をして呂布を見つめた。 董卓の腕は王允の腰にまわされている。 それがよりいっそう、呂布に董卓に対して憎しみを生ませることになる。 今回のことで王允は呂布が策にかかったことを確信する。 次は董卓に呂布に不信を持たせる。 王允は予測していた通り、呂布から貂蝉に会いたいと連絡があった。 王允は董卓がよく現れる場所を選び、呂布と会う。 「貂蝉、訪ねたいことがある」 「はい、なんでしょう?」 王允は少し下の方を向き、顔色がよくないように見せた。 「……董卓と付き合っているのか?」 王允の両肩を掴み、深く思い声で王允に呂布は訊いた。 「……はい」 王允は呂布と目を合わせることなくただ下の方を向いて弱々しく答える。 「嘘だろ!? 貂蝉」 呂布の動揺はいっきに広がり、王允を掴んでいた手の握る強さが増す。 「……っ! 痛い」 「!? 済まない、貂蝉」 慌てて肩から手を呂布は話した。 その時、王允の目から涙がこぼれる。
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