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「呂布様。……たまたま街に出ていたら無理矢理私を……」
泣きながら苦しそうな表情をして王允は呂布の胸に飛び込んだ。
「……いい、無理に言わなくとも」
呂布はそう言うと、自分の胸に抱きついている貂蝉を優しく抱き込む。
「私がお慕いしているのは……」
この言葉をいいきる前に王允、呂布に向かって叫んできている者がズンズンとやってくる。
――董卓だ。
「おい! 呂布! お前、俺の貂蝉に何をしている!!」
「!?」
「!」
呂布は叫びながら自分たちの方に来る董卓を見る。
その目には憎しみの色が見える。
「即刻、貂蝉から離れろ!!」
なおも董卓は叫ぶ。
しかし、その怒声は呂布には効かない。
逆に董卓に殺気をあて、威圧する。
董卓は呂布の殺気に怯む。
彼らの様子を見ていた王允は連環の計が成功することを確信する。
だが、まだ真に成功するまでは気が抜けない。
あの日以来、董卓は呂布を自分の近くに置くことを遠ざけた。
いつ、自分も丁原のようにやられるかわからないからだ。
だが、無情にもその日がやってきた――。
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