36 美女連環の計 (完)

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仕事中の休憩でぼーとしていた王允に小柄な少女が近づいて抱きついた。 「おーいん! あーそぼ!」 現リュウ社社長・劉協である。 劉協はまだ、小学生ということもあり劉協の親族で人望、実力もある『劉虞(りゅうぐ)』が後継人として会社を切り盛りしている。 「ああ、すみません。まだ仕事の途中でして……」 少し困った顔を王允は劉協に向けた。 「うー。だったら仕事が終わってからはダメ?」 頬をぷうっと膨らませて上目遣いで王允を見る。 劉協にこれをやられると王允は断れない。 「……仕事が終わってからなら……」 劉協は目を輝かして喜びを満面の笑顔であらわした。 「約束よ! 絶対ね?」 「はい、約束です」 そう言って二人は指切りげんまんをして、劉協は自分の部屋に帰っていった。 王允は仕事を再開する。 「呂布さん。貴方にひとつ言っておかなければなりません」 これは、呂布が董卓を誅した後のこと。 「なんだ、王允」 呂布の拳には董卓のかえり血がついて下の地面に垂れている。 「貂蝉はもういません」 「!?」 呂布は目を剥き王允に掴みかかる。が、王允は表情を変えずにメガネを外す。 「お分かりになりましたか?」 無言で王允から手を離し、呂布は膝をつく。 「王允、ひとつだけ訊く。……貂蝉は俺のことをどう思っていた?」 力のない声色で問う。 王允は呂布の問いに答えた。 「          」 と――。
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