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生徒会室には曹操と賈クの二人だけになった。
「……賈クと言ったな」
「はい」
品定めをするように曹操は賈クを見る。
何を考えているかわからない表情をしている。
先程からずっと賈クはその表情を崩すことはない。
いや、一度だけ曹操は表情が変わった時を見た。
校庭にて張シュウが気を失った時――。
「ひとつ賭けをしないか? 賈ク」
「?」
「俺が、この学校から出たら勝ち。お前が俺を討つことが出来たらお前の勝ち。どうだ? 悪くない賭けだろ」
「……流石、曹操ですね。分かって虎穴に入るとは酔狂極まりない。でも、そういうの好きですよ私」
ニヤリと口元に笑いの表情を賈クは浮かべた。
とうとう賈クは本性を現す。
暗く、黒く、深く貪欲な表情を――。
「くく。その表情たまらないな、賈ク。そうだな、俺が勝ったらおまえたち宛城地域の者はすべて俺に従ってもらう。
勿論、おまえもだ賈ク!」
曹操も賈クに劣らないほどの暗く、黒く貪欲な感情をむき出しにする。
「そうだな、ルールは何でも有り。使えるものはすべて使う。開始時間は今から秒針が12時をさしたとき」
「……分かりました」
二人とも口元の笑みは絶やさない。
今から行う賭けを楽しむかのように。
――そして、秒針は12時をさした。
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