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「うっ…!」
保健室で目を覚ました拓巳は全身を包む痛みに耐えられず起き上がる事ができなかった。
(くそっ……! そういえばあの優真って野郎にやられたんだっけ……。あんな奴に…、あんな奴に…!)
保健室のベッドの上で悔しそうに天井を見つめる拓巳に一人の女が声をかけてきた。
「おっ?目ぇ覚ましたか?このやんちゃ坊主!」
と笑顔で拓巳の近くに寄ってきた。
「なんだテメー?」
するとその女は怪我人の拓巳の頭に一発、強めのゲンコツをいれ
「誰ですかでしょうが!ったく!口の効き方も知らんのかオマエは! 私は葵。あんたをこんなにした優真に頼まれて看病してやってんの!ありがたく思いなさいよ!?」
「す、すんません……」
いきなりのゲンコツには驚いたものの拓巳はこの葵に対して全く嫌悪感はなかった。普段なら男だろうが女だろうが自分に偉そうに接してくる人間には牙を向ける拓巳には初めての感情だった。
「あんた、あの優真って奴の女か…?」
ゴンッ!
再び強めのゲンコツが飛んでくる。
「あつっ!」
「あんたじゃなくて葵さんでしょ!?」
「す、すんません…」
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