第一章・第一話「始まりの始まり」

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――――教室。 フォルテ「ニュースだッ!!」 フェイト「そうか、そんなことがあったのか。驚いたなぁ。もう下がっていいぞ?」 フォルテ「切り返しはやっ!ていうか酷っ!どんだけ俺のこと嫌いなんだよっ!?」 や、別に嫌いじゃないがな。 何となく出鼻を挫いてみたくなるじゃないか。 ランド「それで?いったい何があったんだい?」 フォルテ「あ、あぁ…それがさ、転入生がくるらしいんだよ。それも女の子だ」 フェイト「転入生?この時期にか?」 今日は4月19日の木曜。入学してから10日も経っていないというのに。 フォルテ「詳しいことはわかんねぇけどさ、なんか、学園長の孫って噂もあるんだ」 学園長の孫………ここの学園長は親父の知り合いで、パーティーとかで何度か会ったことがある。 そのコネでこんな急に入学させてもらえた訳だし。 で、学園長の孫娘…、小さい頃に一緒に遊んだりした覚えがある。名前は忘れたが……確か年下だったはずだ。 って事は学園長の孫説はないな。 フォルテ「何考え込んでるんだ?」 ランド「フェイトが女の子に興味あるなんて意外だなぁ」 フェイト「な、そんなんじゃない!俺は別にっ―――」 ガラガラガラッ と、ドアを開け、うちのクラスの担任・アルベール先生、通称アル先生が入ってくる。 アル「はい、みなさん席についてくださいね。ホームルームを始めます」 整った優しい顔立ちに、茶色の髪。緑色の綺麗な瞳。 その甘いマスクでニコッと微笑むと、ほぼすべての女子がキャーキャー言いながら沸く。 ……というのは少し前の話。今は慣れてしまって叫んだりはしない。 別に彼はカッコつけてしているのではなく、素でああいうふうに笑うのだ。 人柄もよく親しみやすい。 早くも相談を持ちかけたりする者もいるらしい。 アル「今日はちょっとみんなにニュースがあります」 フォルテ「俺、知ってるぜ♪」 フェイト「言うなよ、先生に言わせてやれ」 しゅん、と小さくなるフォルテ。 ……もしさっき言ったら、先生がやりにくいだろうからな。 アル「はは、さすがフォルテくん。情報が早いですね。ニュースっていうのは、転入生が来たってことです!」
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