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巨大な噴水が街の中央にあり、大都市と呼べるほどの大きな街“アクアリウス”。
その北端にそびえる大きな家……いや、このレベルになると屋敷、豪邸、などと呼ばれるのだろう。
「親父ッ!今度はいったいなんの冗談だッッ!!」
その屋敷から響く青年の怒号。
今やこの街では日常茶飯事である。
「なんだ、似合っているじゃないかフェイト」
「お似合いね」
怒鳴っているのがフェイト。この作品の主人公である。
そして、セリフの順を追って父・カイト、母・ミリアだ。
ちなみに家族はもう一人、義妹がいるのだが、妹は今、持病をこじらせて入院している。もともと病弱で、恐らく家にいる時間のほうが短い。
フェイト「似合っているとかそういうのより先に言うことがあるんじゃないのかっ!」
カイト「まぁまぁ、たかだか学校に行くというだけだろう」
さらり、とカイトは大変なことを口にする。
フェイト「だから、何で今更学校なんだよ…ずっと通ってなかったのに」
そう、フェイトは学校に通っておらず、ずっとこの屋敷のなかで勉学を教わってきたのだ。
もちろん社会一般常識も教わっているから、外に出て恥をかくことはない。
だが、彼はもう十五歳。学校に通うとすれば高校だ。
カイト「何を言っている、だからこそ、だろう?前にも言ったと思うが、お前にはこの家を次いでもらわなければならない。そのためには、よき学校に行き、よき女性を見つけるべきだ」
最もなようだが、恋人探しに学校に行く…というのは違うと思う。
フェイト「また訳の分からない事を…、母さんもなんか言ってやってくれよ」
ミリア「あら、いいんじゃないの?わたしは父さんが言ったのならそれでいいわ」
カイト「いいや母さん。母さんの言葉あっての僕の言葉だ。君の意見も聞かせてくれたまえよ…」
ミリア「いいえ、わたしは貴方の言葉だけを信じていきているの。貴方のしたいように、生きて、貴方…」
カイト「という訳だ」
フェイト「どういう訳だ!!!」
いつまでも新婚夫婦のノリでイチャイチャと!
カイト「あのなぁフェイト。このグリムガウディ家はな、ずっと昔からある由緒正しい家系だ。お前の代で止めるわけにはいかないのだよ」
フェイト「……わかったよ、わかった…けど。なんで今制服を着せる必要があるんだ?」
別に今すぐに行くというわけでもあるまいに。
すると、カイトはまるで馬鹿を見るような目をした。
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