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「…かん…な…」
ようやく声が出せたのは男らが立ち去ってから随分と時が経ち、空が白くなり始めた頃だった。
「どうしたの?…これ」
声の主はかんなの友人であるリラという少年。
「盗賊が入って…かんなは連れて行かれた」
まだ強い痛みがある。骨でも折れたのだろうか?だが…それ以上に、かんなを守れなかった現実の方がずっと辛く…心が痛んだ。
「そんな…約束したのに…」
「約束?」
膝から崩れ落ちるように座り込んだのは、かんなが弟のように可愛がっていた柊という少年。
「俺の養父は…その盗賊の頭なんスよ。誰も傷つけないから家の見取り図を教えろって…」
涙を流し、震える柊。奴もかんなにとても懐いていたんだ…責められない。
「…かんなを探さないと…」
俺は主の横にある刀を手に取った。
「もう二度と…あいつを悲しませない」
俺たち3人はかんなを助け出すために動き始めた。
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