0人が本棚に入れています
本棚に追加
「そんなこと…させるもんかい。私はあの人にこの子の面倒を見るよう言われてるんだよ。そうじゃなかったら今すぐにでもこんな邪魔者…あんたにあげてもいいんだけどね」
愛情の欠片もない言葉…。かんなはこの女にどれほど辛い目に遭わされたのだろうか?怒りと憎しみに堪えられなくなり、俺の手はゆっくりと刀を抜いた。
「ひっ…か、かんな!かんな!!」
女が何度も強く呼ぶと、子どもの影は頭部だけ動いた。俺を見ているのだろうか…女を見ているのだろうか…。どちらにせよ、それ以上動くようには見えない。
「かんな!私を助けなさい!!私はあんたを育ててやったんだよ!」
女が吼えてもかんなは動かなかった。刀を…俺を恐れてかもしれない。
たとえ記憶がなくても、刀には嫌な感覚があるだろうからな。
「あの人の命令がなけりゃこんなことしてやるものか!」
あぁ、駄目だ。この女がいたらかんなは幸せになんてなれない…。
「あんたはあの人と私の子なんだよ!?」
ふざけるな!!
俺は女の首筋に刀の先を付けた。
「…っ!」
女は顎を上げ、ガタガタと震えている。
最初のコメントを投稿しよう!