984人が本棚に入れています
本棚に追加
「当主みずからが他人任せだ。人を率いる力のない男は、棟梁となるできではない!」
「……」
幸隆の父・頼昌(よりまさ)は、先年亡くなった。その頼昌は海野棟綱の娘婿である。つまり幸隆にとって棟綱は義祖父になる。
幸隆から見ても、義祖父には反感を抱いていた。
「代わりに俺が率先して働き、海野に幸義あり、と示してやらないとならねえわけだ。だから幸隆、お前も奮戦しくれ。とくに、あの春原ってやろうは怪しいからな。あいつに俺たちの力を見せておかないといけぬ」
(春原殿が……?)
その言葉を信じられないものの、幸隆は頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!