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「私も次兄の変心をののしり、説得しようとしました。が、無駄どころか、私まで捕らえられそうになったのです!」
泣きそうな顔で訴える隆永を見て、幸隆は疑う気にはなれなかったそして、隆永に命じる。
「わかった。頼綱は諦めよう。だが、やつが武田側に寝返ったとすれば、ここも危うい。すぐに一族を海野城へと移動させろ!」
真田郷の南方にある矢沢城は、屋敷からでも城が見えるほど近く、海野城にむかうためには、矢沢城の前を通らなくてはならない。合戦がはじまれば、海野城と真田城は遮断されるのは、知れていた。
続いて幸隆は、近習の宗介を呼ぶ。
「今から、武田の陣を見に行く。準備しろ!」
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