鳶色の瞳

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   真田郷から、海野城をすぎ、海ノ口方面へと南下しているとき、 「――幸隆様」 と、声をひそめて宗介が発した。視線の先をたどると、夕暮れのなかにうごめく一隊があった。 「あれは、武田のやつらか……?」 「おそらく」  大胆な、と言い、幸隆は黙った。  ――敵は、すでに海野の城近くまで物見を出していた。  相手はまだ気づいてはいない。 「敵は、五人か……。二人で斬り込むのは無謀かも知れぬが、ここから逃げても、敵に勘づかれよう。このまま林のなかで待ち構え、近くになったら襲撃する!」  宗介は頷いた。  二人が静かに耳をすますと、敵の会話が聞こえてきた。
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