鳶色の瞳

7/12
前へ
/574ページ
次へ
   『若様』は、虎をおもわせる目つきであり、瞳は澄んだ鳶色(とびいろ)の色彩を放って、力強さと美しさを共存させている。  『若様』が駆突してきた、幸隆も、駆けさせ、二人の距離は、磁力が引き寄せ合うように接近する。  眉宇を微動させずに睨らむ『若様』。その眼力に圧倒させそうになりながら、後方に振りかぶっていた槍を首を狙い趨らせた。  相手も槍を振るい、両者の槍が柄を衝突させ、はじき合った。  次の槍撃は、相手のほうが早く、幸隆に防ぐ隙を与えず、穂先が一直線に伸びる。  
/574ページ

最初のコメントを投稿しよう!

984人が本棚に入れています
本棚に追加