鳶色の瞳

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 幸隆は穂先とは反対の部分を機敏に動かし、突き進んでくる槍の方向をすべらした。  攻撃を去(い)なすと、相手の態勢が崩れた。  そこに隙が生まれ、幸隆は矛先で大車輪を描き、その頂点から一気にたたき落とした。  矛先が落ちる。抗う物はない。相手は己の槍を手放し、むかってくる槍の柄を片手で掴み、とてつもない膂力(りょりょく)で、幸隆の槍を奪った。
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