天文10年(1541年)  5月 『海野平の戦い』

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  「だ、黙れ、幸義! 我らだけの力では敵わぬ相手だぞ。それゆえ上杉を頼るのではないか!」 「上杉を頼ることに反対しているのではない。それだけを頼りにしているのは……海野氏の当主として無様だと思いませんか?」  衆目を集める幸義は、顔に嘲笑を浮かべている。 「では幸義! 貴様に策はあるか!?」 「フフ……。兵さえ与えて貰えれば、となりにおる幸隆と、村上を討ってみせる。幸隆よ、おまえも俺と同じ考えだろ?」  いかにも、と常日頃から幸義を慕っていた幸隆が同意し、発した。 「ここは敵の出鼻を挫くのが大事だとおもいます。敵が集中攻撃すればこの海野の城はすぐに落ちる。ですから、敵の兵力を分散させるためにも、討ってでるべきでしょう」  
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