984人が本棚に入れています
本棚に追加
「だ、黙れ、幸義! 我らだけの力では敵わぬ相手だぞ。それゆえ上杉を頼るのではないか!」
「上杉を頼ることに反対しているのではない。それだけを頼りにしているのは……海野氏の当主として無様だと思いませんか?」
衆目を集める幸義は、顔に嘲笑を浮かべている。
「では幸義! 貴様に策はあるか!?」
「フフ……。兵さえ与えて貰えれば、となりにおる幸隆と、村上を討ってみせる。幸隆よ、おまえも俺と同じ考えだろ?」
いかにも、と常日頃から幸義を慕っていた幸隆が同意し、発した。
「ここは敵の出鼻を挫くのが大事だとおもいます。敵が集中攻撃すればこの海野の城はすぐに落ちる。ですから、敵の兵力を分散させるためにも、討ってでるべきでしょう」
最初のコメントを投稿しよう!