天文10年(1541年)  5月 『海野平の戦い』

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  「小賢しいことを抜かしやがって。す、春原(すのはら)、お主はこいつらの意見をどう思うッ?」  苦り切った顔の棟綱は、腹心であり、家老をつとめる春原に顔をむけ、訊く。 「いや、勇ましいではありませんか。将来、海野を背負う二人が、これほどまでに血気盛んだとは……。ここは彼らに兵を預けても問題ないと思いますのう」 と、春原の返答は、幸義に好意的だった。  それを聞き、幸義が鼻を鳴らした。 (侮蔑するときの癖だ) と思い横顔を覗くと、幸義が睨みつけているのは春原だった。      
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