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「小賢しいことを抜かしやがって。す、春原(すのはら)、お主はこいつらの意見をどう思うッ?」
苦り切った顔の棟綱は、腹心であり、家老をつとめる春原に顔をむけ、訊く。
「いや、勇ましいではありませんか。将来、海野を背負う二人が、これほどまでに血気盛んだとは……。ここは彼らに兵を預けても問題ないと思いますのう」
と、春原の返答は、幸義に好意的だった。
それを聞き、幸義が鼻を鳴らした。
(侮蔑するときの癖だ)
と思い横顔を覗くと、幸義が睨みつけているのは春原だった。
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