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「……春原がそう言うならしかたない、お前たちに兵を預ける。とはいえ、城の守備を手薄にできぬ。多くは割くことはできないぞ!」
「そうらしいが、幸隆いいか?」
幸義は春原に視線をすえたまま、幸隆に訊く。
「寡兵をもってして、敵の後方を攪乱し、矛先を鈍らせ、時間を稼ぎ上杉の軍を待つ……」
と、幸隆はよどみなく告げる。
よし、と幸義が頷き、棟綱にむきなおった。
「父上、それでは兵を借りるぞ! なるべく精鋭を頼む!」
「む……」
不服そうな顔の棟綱を気にかけることなく、幸義はその場を離れた。
「おい、幸隆。俺たちで策を練るぞ……。そこにいても策など生まれぬからな」
「はい」
幸隆も急いでその場から離れた。
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