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「和ちゃん様、どうか目の前のお二人をお止めになって下さい」
「てめぇ、喧嘩売ってんのか」
「会長って呼んじゃいけないなら、ちゃん付けの方がいいかと思いまして」
「アホか!俺は嫌に決まってんだろ!止めてくれと言っても止めないから諦めただけだ!」
「和ちゃんだなんて可愛らしくて親近感わきますよ?それが嫌なら、これからも会長と呼びます」
「却下だ!俺が気にくわないもんは全…
「あなたったら、やーねぇ!沙羅ちゃんがお嫁に来たら済む話よ!」
「「!?」」
会長に助けを求めたはずなのにただの口喧嘩に発展し始めた時、ラブラブムードの夫婦から爆弾発言が飛び出した。
「その手があったか!将来を楽しみにしてるぞ!」
「分けがわからない話を勝手に決め…」
「早めに孫の顔を見させてちょうだいね!」
「だか…」
「ははっ!軽いジョーク!アメリカンジョークだ!半分だけアメリカジョークだがな!」
「……」
最初の印象とは違って思ったより会長パパさんもお喋り好きらしい。
こんなに明るくて楽しい両親がいるのに、どうして会長はあんなに意地悪な性格んだろう……謎だ。
「…親父達、いい加減にしてくれ」
「私には可愛らしいお前がいるから満足しているが孫も欲しい事は事実だ」
「俺に可愛いとか言うな」
「それは出来ないわね。とっても可愛いんだもの」
「……もういい。おい、櫻木行くぞ。お前の部屋を案内してやる」
そう言うと会長はズカズカと歩いて先に部屋を出てしまった。
先に謝ります。ごめんなさい。疲れきって困り果てた顔、超面白いッス。
「あらら、また拗ねちゃったわ。沙羅ちゃん、和ちゃんと仲良くしてあげてね。あの子はお祖父様に似たのか頑固な所あるから」
「不器用だけど根は優しい子なんだ」
パパさんの言う通りだ。
さっきも階段で助けてくれたし、なんだかんだ言って世話焼きなんだって私も思った。
「あ、そうだわ。この家は自由に使っていいから。お庭もキレイだから探索してみて?ただ森は広いから気をつけてね。それと、この家には沙羅ちゃんみたいに居候してる子もいるから驚かないで?」
「はい、簡単には車の中で言われました。私以外は吸血鬼なんてまだ理解仕切ってないですけど…」
「いきなり言われても混乱しちゃうわよね。…何か困った事とか不安になったりしたら相談してちょうだい。私達でも和ちゃん達でもいいから…決して無理だけはしちゃダメよ」
「はい。わかりました」
一礼してから私も急いで部屋を出た。
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