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………
……
…
助手席で気を失っていたシェンリンは痛む頭を何とか持ち上げ、辺りを確認した。
『…く、どう…なったの?』
『よぉ、気が付いたか?』
隣から聞こえてきた声にシェンリンは横を見た
『リュウ?一体どうなっ…て…』
シェンリンは一瞬それに気付くのに時間がかかった。
『ったく、何て顔してやがる。お前らしくもねえ。』
リュウの服、その丁度左胸の辺りが紅く染まっていた。
その紅い染みの中心から生えて、いや刺さっているものが鉄骨だと気付くのに、一瞬遅れた。
『リュ…ウ』
『…いいか、時間がねえ、お前はこれから後ろのブツを徒歩でアジトまで運べ。すぐに奴らもここに来る。近くに下水が通ってたはずだ、そこを通って…』
しゃべり切れずに咳き込んだ口から紅い飛沫が飛び、フロントガラスを紅く染めた。
『リュウ!』
我に帰ったシェンリンが何とかしようとするのをリュウは片手で制して、
『助けようなんて考えるな?お前の優先目標は後ろだろ?さっさと行け。』
リュウはシェンリンを見る。
彼女は強い、
取り乱したりしない、彼女はやる。
そう確信しているリュウを前にシェンリンは頷いた。
『お前の家族の事は任せろ。私の威信にかけて不自由はさせない。』
『へっ…堅苦しいんだよお前は。いまわの極ぐらい笑顔を見せろよ。』
軽く帰したリュウに随分固い、それでも精一杯の笑顔を作ったシェンリンに、リュウは早く行けと諭した。
トレーラーから降りてすぐにシェンリンは後ろの積み荷を確認するためにドアのパスワードを入力しようとした。
『…え?』
思わず呆けてしまったシェンリンは、まず現状を把握しようとした。
『……何故、ドアが開いている!?』
見ればトレーラー後部のドアは、バズーカの衝撃か先程の衝突の影響かかなりひしゃげており、殆どドアとしての役目を果していなかった。
『くっ、中身は!』
慌てて中に入り込む
そして表情が絶望に染まった。
中には液体の入ったタンクや配線コード、端末機材等があり、その中心に一際大きなカプセルがあった。
『!!……くそ!』
カプセルは、空だった。
『"出て行った"のか?目覚めたのか、"アレ"が…』
ビルの表からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
『……リュウ、すまない。少々生き恥を晒す羽目になりそうだ。』
シェンリンは仲間に別れを告げ、ビルの奥へと消えた
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