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始め、"ソレ"が何なのか、サイモンには理解出来なかった。
暗闇の中でうっすらと見える輪郭は、コンテナ中一杯に広がっており、ソレがかなり大きな積み荷である事を表していた。
『かなりでかいな。ん?車輪じゃん。てことはこいつは車か?』
『いや違う、良く見ろよサイモン、普通車の車輪はいくつだ?』
言われてみると、その車らしき物体には車輪とおぼしき物体が片方に四つ、もう片方と合わせると合計八つの車輪がある事になる。
サイモンはだんだん荒くなる息を感じた。
普通なら、車輪が八つあっても大して不思議では無いだろう。
最近は民間人向けの八輪車は特に珍しくも無い。
が、ソレはただの車ではどうやら無いらしい。
サイモンは若干震えた声で呟いた
『特殊識別NO.P5W9・G-MK?』
それは車体(?)の側面に蛍光塗料で塗られたナンバーだった。
特殊識別NO
すなわち普通の車では無い、
『『CMS!!』』
ハモった。
二人はかなり興奮している様で、すぐに近付いて車体に触り出した。
『スッゲー!ほんもんだほんもん!』
『形状がかなり流線型だ。軍用機の線は薄いな。』
『マジかよ!どっかの金持ちの私物か!?』
ケインは最早錯乱状態である。
『いや、識別Noが特殊過ぎる。恐らくは実験機が廃棄処分喰らってスクラップにされる直前だったんだ。』
一見冷静に見えるサイモンだが、眼は引っ切り無しに車体を調べ尽くしており、かなりの興奮状態である事が分かる。
『スゲエ、スゲエよ!いわゆる棚ぼたか!?神様サンキュー!愛してるぜ!』
『うるさいわねえ、一体何の騒ぎ?』
と、二人ではしゃいでいた所に待ち切れなくなったのかデイジーも入ってきた。
『おいデイジー!見ろよ、CMSだぜ!本物の!しかもサイモンによるとスクラップ予定の実験機!』
『分かった、分かったから少し落ち着きなさい!どうなのサイモン?』
と、はしゃいでいたケインをなだめて話し掛けたが、サイモンは一向に応じる様子は無かった。
『ああ、やっぱし入っちゃったか。』
ケインがやれやれと肩を竦めた。
サイモンは意外にも機械弄りが大好きで、技術の科目ではA+を取った程である。
現にスクラップ置き場のアジト内には彼の作品が数多く点在し、中にはロボットまである始末である。
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