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ドアを開けると、少女は既に起きていた。
起きたばかりなのだろう、少女は半開きの瞼を擦りながら欠伸をした。
『おはよう。え~と、名前分かんねえや、お腹減った?』
随分ずぼらな挨拶だったが、少女は答えてくれた。
『…アップルパイ。』
『良く分かったな。一応母さんが作ってくれたんだけど、どう?』
少女はキョトンとした表情で、
『いいの?』
『いいも何も、母さんが君に作ったんだから、俺にはつまみ食いするなって言ってたし、良いよ…』
言い終わらない内に部屋で大きな音が鳴った。
『何なら…』
音源であるお腹を押さえた少女の顔は見る見る内に深紅に染まってしまった。
『全部食べる?』
………
……
…
『届けて来たよ。』
キッチンに降りてきたケインを父ジョージ・マックリードはちらりとだけ見て、
『元気そうか?』
とだけ聞いた。
『まあ……元気そうだったよ。』
『アップルパイ、多かったかしら?』
キッチンからアンナが心配そうに聞いてきた。
『いや、多分大丈夫だと思う。』
『そう?あ、つまみ食いしたりは』
『してないって!』
どうだか、と言い残してアンナは再びキッチンへと戻っていった。
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