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『じゃあ、行ってきます。』
ケインは昨日出会ったもう一つのサプライズに会うため、玄関から外に出ようとした。
『あ、ちょっとケイン。』
『ん?』
やっぱりダメなのかと思ったケインに
『あの娘、外に連れていっても大丈夫なの?』
と聞いてきた。
『あ、ああ。多分大丈夫だと思う。少し話しただけだけど、少なくとも指名手配犯では無いと思う。』
『私だってそう思うわよ。とにかく、外出はOKなのね?』
アンナに頷いたケインは出掛けの挨拶をもう一度伝えてから玄関を出た。
ケインを見送ったアンナは、
『さあて、あの娘アップルパイ残しちゃいないわよね?』
少女の眠る2階まで向かうのだった。
………
……
…
スクラップ置き場までの道を走るケインは昨日のCMSの事を考えていた。
(すごかったよな、見たこと無い機体だったし…)
コンテナ内に収められていた車体を見付けた時の興奮がまた火をつけてきた。
『ウオオオ!サイモンの野郎、おいしい所持ってきやがって!』
あまりに興奮していた為か、ケインはその人影に気付かなかった。
ドン!
『のわあ!?』
『きゃあ!?』
またもや曲がり道で衝突事故を起こしたケインは、浮かれすぎていた自分を反省しながら目の前の被害者に手を差し延べた。
『すみません!大丈夫ですか!?』
と、倒れていた人の襟首に眼がいった。
『ん?そのバッジ何処かで、』
『!?貴様!』
と、倒れていた人がいきなり怒声を上げた。
『うお!すみません!決して胸を見ていた訳ではなくてうを!?』
必死に弁解しようとしたケインはいきなりの浮遊感に理解が追いつかなかった。
目の前の人物に投げ飛ばされたと気付いたのは地面に仰向けで悶絶してからだった。
『おい貴様!今何を見た!言え!』
ケインは頭上から投げ掛けられる怒声に違和感を覚えた。
凛とした透き通る様な声
『女?』
そう、ケインを投げ飛ばした人物は、何とケインと大して歳の変わらなそうな少女だった。
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