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『一応徹夜で中身を漁ってみたが、やれやれだ。こいつはずいぶんややこしいぜ?』
『優秀なシステムエンジニアでもいれば良いのにね。』
デイジーが呟いた。
『何で?サイモンがいるじゃん。』
『バッカ!俺は整備士だ、OSは専門外!』
『フ~~ン。ま、良いじゃんんな事はよ。取り敢えず乗って見ようぜ!』
『おう!』
サイモンがシートを剥がし、ケインがドアを開けた。
『ウオオオ!スッゲエ!コレがCMSのコックピットかよ!』
『おいケイン!さっさと詰めろ!』
二人とも乗り込むと、サイモンが電源を入れた。
『………』
『………』
液晶に映し出されたのは
『"PASSWORD"』の文字
『『のあああああにいいぃぃぃ!!!?』』
デイジーが耳を塞いだ。
………
……
…
『しまった~~、キー穴が無いから油断してた。』
『まさかパスワード制とはね。ドンマイ二人とも。明日があるさ明日が。』
デイジーの慰めも、虚しくなるだけである。
そこに、来客があった。
『ケイン?サイモン?デイジー?いるの?』
『母さん?』
見ればアジト入り口にアンナが立っていた。
ケインが駆け寄る。
『どうしたんだよ?あの娘は?』
『気になる?』
何故か茶化すアンナに疑問を覚えたケインはアンナの後にもう一人誰かがいるのに気が付いた。
『連れて来たの!?』
『ええ。いつまでも貴方のシャツを着せておく訳にもいかないし、ちょっと服屋までね。』
『へえ、何買ったの?』
『見てみる?』
アンナは悪戯を思い付いた様な笑顔を浮かべて
『ほら、ノアちゃん。』
後に隠れていた少女を押し出した。
『…お……ぅ』
少女は、白いサンダルを履いてこれまた白のワンピースを着ていた。
頭にはストローハット(麦藁帽子)を被っており、前髪は髪留めで横に分けられていた。
長いプラチナブロンドの髪が風になびいていて、幻想的な雰囲気を醸し出していた。
黄色い双瞳が少し恥ずかしそうにしていた。
後でサイモンがスパナを落とす音が聞こえた。
『……………似合う?』
戸惑い気味な声
答えなんて、
解りきっていた。
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