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有り体に言えば、可愛いとしか言えなかった。
実際、サイモンやデイジーも突然現れた少女に見とれていたし、ケインも例外ではなかった。
その後、アンナは夕飯の支度があるからと少女を置いて行ってしまった。
しばしの沈黙の後、口を開いたのはデイジーだった。
『え~っと、ケイン?彼女は?』
聞かれて我に返ったケインは二人に紹介しようとして、自分も少女の名を知らない事に気付いた。
『えっと、実は俺も良くは知らないんだよ。』
サイモンとデイジーが呆れた顔をした。
ケインは少し緊張気味に少女に話し掛けた。
『その、ゴメン。まだ名前聞いてなかったな、聞いていいか?』
すると少女は若干緊張気味に麦藁帽子の鐔を掴んで顔を隠した。
『……えっ…と。』
『ノア』
少女が答えた。
『………へ?』
少女は帽子を上げてケインを見た。
『私の名前、ノア。』
ケインはゆっくりと頭の中で反芻した。
『じゃあ、ノア?』
何故か疑問形になる。
しかし少女はそんな曖昧な返答にも笑顔で
『うん!!』
とても嬉しそうに、
笑った。
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