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夕日の中、ケインはノアと二人家路に着いていた。
道中会話は無く、沈黙が続くばかりである。
『………』
ケインの頭の中は昼の出来事が渦を描いていた。
(棄てられる所だった?何故?)
一緒にと聞いてケインが思い浮かべたのは、CMSの乗っていたあのコンテナである。
(あの爆破痕、何か関係してるのか?)
コンテナの爆破理由、
ノアが全裸であった事、
その時と同時に起きたトラック炎上事故。
全て関係しているのか、
一体ノアは何者なのか。
(大体、何で全裸だったんだ?)
ケインの脳裏にノアの肢体が浮かび、慌てて振り払った。
どうにも先程からこんな調子である。
ノアも俯いており、実に話し掛けづらい雰囲気を醸し出している。
(ったく、らしくねぇな。)
頭をバリバリと掻きむしる。
『私ね、家族がいないの。』
『………え?』
またもや不意打ちを喰らったケインは何度目か分からない素っ頓狂な声を上げた。
『研究所にはパパはいたけど、血は繋がってないし、』
いきなり身の上話を始めたノアの淡々とした語りを、ケインは静かに聞いていた。
『兄弟もいなかったから、その……』
ノアの顔は夕日のせいか少し赤いようにケインには見えた。
『すごく楽しいかな、今は。』
正直、ノアの言うことはちっとも解らなかった。
けれど、
『………そっか。』
ケインの顔も、
笑顔だった。
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