序章

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5月21日 水曜日 天気 晴れ 窓の外を見上げると雲と空の混合物の間に太陽がサンサンよりもギラギラと輝いている。 全く、本来なら春の筈の今。 黒板横の温度計は32度を示している。 …………暑い。 …………………てか熱い。 外では変異を遂げたジュウシチネンゼミモドキがジイジイと鳴いている。 中指を立ててみるが奴らは一向に収まる気配もなく騒音とノイズのデュエットを大合唱している。 現在西暦2148年 100年前の大異変から地球はずいぶん様変わりした。 海水が上昇し全大陸の10%が水没した。 また噴火も相次ぎ、海底が隆起したり沈んだりもした。 しかし問題はそこではなく、それにより急激に起こった温暖化だろう。 生態系は大きく崩れ、沢山の生物が絶滅した。 ジュウシチネンゼミモドキの様に環境変化に適応したものもいるが、生物全体に比べると微々たる物である。 しかし学生の俺からして見ればそんな大局的変化より気温の上昇という問題の方が遥かに重要である。
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