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『畜生。何でこんな事に、』
体育館の床をモップで磨きながら愚痴ってみるが、そんな事をしても現状は一向に進展しない。
『よぉケイン。諦めなって。レイアの授業であんだけカマしたんだぜ?今頃抜け出した時の処遇をニヤニヤしながら考えてるに違いねえぜ。』
体育館の入口でやれやれといった風に肩をすくめている黒人の少年。
サイモン・バカルディはケインの親友であり、悪友だった。
『けどよサイモン、たかが外を眺めてただけだぜ?何が悲しくてこんな、軍隊じゃあるまいし。』
『それこそたかが掃除だぜ。軍隊では掃除で済むのか?生憎オレはそうは思わないね、腕立て伏せ100回の後に完全装備でグランド15周とかの方が良いってか?マゾかお前?』
一々一言多い。
『うるせー、てかお前見てないで手伝えよ。』
するとサイモンはまた肩をすくめて
『分かんねえかなケイン?オレはお前と違ってマゾヒストに染まりきってねえのさ。そんな重労働なんざ見てるだけでウンザリすおわあ!?』
ダン!
と壁に跳ね返されたバスケットボールをキャッチする。
そのまま人差し指でクルクルと回しながら
『喧しいんだよサイモン!!グダグダ言わねえで…』
ボールを投げる。
苦もなくキャッチしたサイモンが不敵に笑う。
『お?いっちょやるか?』
負けじとケインも中指を立てる。
『ファック!負けたらバーガー奢りだぜ!』
『乗った!』
サイモンがドリブルをしながら一気に突っ込んで来た。
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