序章

8/14
前へ
/43ページ
次へ
その頃、そう遠くないストリートで…… メインストリートを猛スピードでカーチェイスする車が二台。 片方は大型トレーラー。 片方は黒塗りの車である 二台の車は完全に規格外のスピードでストリートを疾走しており、既に二台の後ろには少なくはない数の事故車が散乱していた 『畜生!しつこい奴らだぜ!』 トレーラーの運転手が毒づいた。 『やむを得ないわ、デカイ方をパージする。』 助手席に居た少女が苦々しい表情で決断した 運転手が反論する 『シェンリン!?あれはこれからの作戦でのキモだろう!』 シェンリンと呼ばれた少女が静かに諭す。 『ええ、確かにアレは重要よ。アレの損失によって作戦の七割は変更せざるを得ないでしょうね。全く、忌ま忌ましい米国人共め。』 苦々しい表情の少女を見た運転手が舌打ちをし、サイドブレーキ横のレバーを引いた。 直後、トレーラーの後部に亀裂が一瞬走り、切り離された。 連結を失った後部はみるみるうちに減速し、黒塗りの車に衝突、 『!?』 しなかった。 突然響いた爆音に運転手がミラーを見ると、後ろではちょうど爆炎を上げながら横転し、ガードレールを突き破り落ちていくトレーラー後部が見えた。 『畜生!シェンリン伏せろ!奴らミサイルかバズーカを持ってやがる!』 運転手の言葉にシェンリンは一瞬伏せるのも忘れて呆然とした。 『ミサイル……!?街中で撃ったの!?民間人は…』 『!!伏せろ!』 直後、トレーラーを衝撃が襲った。 ミサイル弾は直撃こそしなかったもののトレーラーのすぐ近くに着弾しており、トレーラーはコントロールを失い半ば横転に近い挙動をしていた。 『ぐうっ!!』 運転手が苦悶の声を上げる。 『!?』 その時運転手の眼に映ったのは、 ビルの鉄骨だった。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加