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朝起きると君が居なかった。
昨日まではこの水槽の中で楽しそうに泳ぎ回って居たのに。
そんなわけで随分焦った俺は顔も洗わずに家を飛び出した。…と言っても彼女の居ない俺にとっては、もはや水換えは不要。
ただ、習慣みたいに彼女が居た頃の水は入れっぱなしだったけど。
慌てすぎて玄関のドアに頭をぶつけた時は、割れるかとヒヤヒヤしたけど。水が少しこぼれただけだった。
嫌な汗に寒気を感じて目を開けると、そこはいつものベッドの上。
まいったまいった。
明るい茶髪の頭をぐしゃぐしゃかきむしって目の前のテーブルを見る。皿とフォークとナイフが置いてあるのがわかる。高いテーブルなのでベッドから起き上がらない事にはは皿の中身がわからない。
…とは言うもののフォークとナイフがカタカタ鳴いている。だいたい予測は着くが、悪い予感が当たりませんように。
目を閉じたまま手探りで朝食をとる。不気味に蠢きながら食道を下っていく生臭い塊。
…この塊がもしも赤なら
「悪夢に決まってる。」
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