放送室に潜む物

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怖くなったAさんは、ランドセルをつかむと、振り向かないように家まで走りました。 家に帰ってからも声が耳から離れず、夜もほとんど眠れないまま、次の日が来ました。 朝、いつものように登校したAさんは、その日の放送当番ではないことにほっとしつつ、教室に向かいました。教室では何人かが楽しそうに話をしています。 Aさんは昨日のことを話せば気が楽になるかもしれないと思い不思議な笑い声のことを言いました。 すると、そこにいた放送が「私、それ知ってる」といいます。 「あなたも聞いたの?」と聞くと「ううん。私は聞いた事ないけど聞いた人を知っているの。誰の声かも」 Aさんは、やっぱり人の声だったんだと安心しました。 すると、返ってきた答は……。 「放送室って、図書館の隣にあるでしょ。⑳年くらい前は、ただの物置部屋だったんだけど、そのころ、何人かの女の子が図書館でかくれんぼをシタンダッて。ルールは図書館以外に隠れたらダメって事で。でも、一人だけ隣の物置部屋に隠れた子がいたの。みんな、その娘だけ隣に行ったなんて知らないから、かくれんぼが終わると、見つからない子をそのままにして帰っちゃったの。先に帰ってしまったんだろうと思ってね。 次の日、用務員さんが物置部屋に行くと、その子が血だらけになって死んでたんだって。それから物置部屋は開かずの間になっていたんだけど改装して、放送室になったんだって。」 ということは、私が聞いたのはその娘の声だったんでしょうか。 その娘はまだ、かくれんぼをしているつもりで、私のことを自分を探しに来てくれたと思ったのでしょうか。 私はそれ以来、放送室には二人で行く事にしました。また聞くとどうにかなりそうで……
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