全てのハジマリ

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「悪魔も同じなのか?」 「悪魔の場合は少し違う。悪魔は生前覚えていた魔術を使う。しかし悪魔が使うものは“魔法”と呼ばれる」 「? どう違うんだ?」 「魔術はなにかしら準備をしなければいけないが、魔法は唱えるだけで使える。ようするに手間がいらないということだ」 準備とはさっきのように何かを書いたりしなければいけないことだろう。 「唱えるって何を唱えればいいんだ?」 「その魔法の名を唱えればいいんだが……憶えてないか。まぁ、その内思い出すだろ。あと、発動キーというものも唱えなければな」 「発動キー?」 「ああ。自分の集中力が高まるような言葉を唱えると集中力が高まる言葉だ。発動キーを唱えれば、魔法を使いやすくなる」 「どんな言葉を言えばいいんだ?」 「なんでもいいさ。自分の集中力を高める、言わばスイッチ的な物ならな」 「……つまり適当でいいのか」 「まぁそうゆう事だ」 やっぱり…… 「そういえばさっきよくわからない事を言っていたな?悪魔は生前覚えたものを使えると。ならば悪魔はもともと人間なのか?」 「そうだ。この世界のシステムは憶えているか?」 首を振る。 ……俺が憶えてることって言ったら悪魔は恐れられているって事ぐらいだ。 「やはりな。どうやらお前はただの記憶喪失とは違うらしい」 「何でだ?」 「一般的な知識の中に、魔術や魔界についてが含まれていないのはおかしい。それこそある種、赤子のようだ」 「いや、でも他のことは憶えてるし……」 「そこだ。お前は何かおかしい。魔界に関する記憶まで、一切無くなっている。……まるで初めて魔界という世界に訪れたみたいだ」 ……? 言ってることが、イマイチ伝わらない。 「……まぁ、それは一旦置いておこう。私にも何が何やら分からんからな。とりあえず魔界については家の中で話そう」 ――気づけば、家のような大きな物体が見えていた。
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