全てのハジマリ

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全てのハジマリ

「………」 ―――痛い。 体が、痛い。 それが初めての感覚。 目を開き、辺りを見渡す。 ……が、暗くて良く見えない。 「いつつ………」 痛い。 服もボロボロだ。 誰かに襲われていたのだろうか。 ……誰か? 誰かって……誰にだ? 俺は何に襲われたんだ? それ以前に―――俺は、誰だ? ……痛い。 体も、頭も。 ……そうか。 記憶喪失……ってやつか。 頭でも打ったのかな、俺。 気絶してたくらいだし、そうかもしれない。 とりあえず、今はそっちよりも先にするべき事がある。 「う……」 立ち上がる。 が、フラフラして中々正面を向いて立てない。 手探りで壁を探す。 ―――あった。 壁はゴツゴツしている……というより、岩肌だ。 洞窟の中、なのか? 「……ん?」 体が、重い。 ダルいとかそういう類いではなく、重い。 何か、変な物が付いてる感じ。 重いと感じる部分を探ってみる。 まず背中。 フニ。 フニフニ。 ……何か、柔らかくてくすぐったい。 次に腰。 グニ。 グニグニ。 ……こっちは背中のよりちょっと固くて、そしてやっぱりくすぐったい。 くすぐったいってことは……体の一部? 試しに少し動かしてみる。 バサッ。 おお? バサッバサッ。 お、おお? ちょっと体が浮いてきた。 これは……羽か? 腰のは……尻尾? ……なんだこりゃ。 なんでこんな物が……? 人間はこんな物ないよな? じゃあ俺は……人間じゃない? 「―――ぐ!!」 強烈な、頭痛。 痛みと共に、ある単語が浮いてきた。 ―――悪魔。 ……そうだ、悪魔だ。 俺は―――悪魔なのだ。 「……?」 ……悪魔ってなんだ? 羽が付いてて尻尾があるだけ? え、なんなの悪魔って? 「……まぁいいか」 ……無理に思い出そうとすると頭痛がする。 ま、今みたいにその内思い出すだろう。 とりあえず今は、外に出なくては。 頭は痛いし体は痛いし腹は空いたしめちゃくちゃ疲れてる。 おまけに記憶喪失。 こんなんでは、のたれ死んでしまう。 ……あぁ、最悪だ。
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