全てのハジマリ

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……作る? まさかこいつはこの洞窟をぶち破るつもりなのか? ――その予想通り、レオは何か準備を始めた。 「おい、そんなことしたら崩れるんじゃないか?」 ……俺はここで生き埋めになる気なんて無い。 「――? そんなこととはどんなことだ?」 と、レオは聞き返してきた。 ……白々しい。 「お前、ここをぶち破る気なんだろ?」 「――ああそうゆう事か。大丈夫、生き埋めになったりはしないよ」 レオは壁に何かを書き始めた。 「……? なんだそれは?」 「む? 憶えてないのか?」 「いや、だから記憶喪失だし」 そんなの記憶にない。 「……むぅ。これは一般的な知識のはずだが……。まぁいい。後で説明する」 と言って丸い円に縦横二本のラインを引き、出来たマスに数字を書き入れる。 ……ん? 良く見れば、縦横足すと同じ数字になるように書いているようだ。 あれは……魔方陣? そして、出来た魔方陣に 『解放』 と、唱えた。 ――すると轟音が洞窟内に響いた。 ……マジで壊したのかと思ったが、そうではない。 何か書いてあった壁にはぽっかりと外に続く穴が開いていた。 乱暴に壊したのではなく、まるで円の形に切り抜いたような穴で、周りも崩れる様子はない。 「……あんた、何をしたんだ?」 俺はおそるおそる聞く。 ……もしかしたら俺はとんでもない奴に助けられたのかもしれない。 「なんてことはない、誰でもできることだ」 と言ってレオはその穴から外に出た。
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