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俺達はうっそうと繁っている森を歩いていた。
この向こうに家があるらしい。
――その間、俺はずっとレオがしたあの事を考えていた。
レオが壁に魔方陣を書いて“解放”と言った瞬間、壁に穴が開いたのだ。
しかもそれを誰でもできると言っていた。
……興味が湧かないわけがない。
「――おい」
「なんだ?」
「さっきのは一体なんだったんだ?」
「――ああ、アレのことか」
ポケットから煙草を取り出しながらレオは説明を始めた。
「アレは魔術と呼ばれるものだ」
「……魔術?」
「ああ、記憶を失ったお前は知らないだろうが、この世界ではだれもが魔術を習っている。大体は闘う為か自衛の為だがな」
――なるほど。
ここは魔界。
強さを求めて身につける者もいれば、何かを守る為に身につける者もいるだろう。
「最初から覚えている者もいれば自力で覚える者もいる。ちなみに私は両方だ」
「何の為に覚えたんだ?」
「……まぁ、色々だ」
説明は続く。
「魔術を使う為には魔方陣が必要となる。魔方陣とは9マスに区切られていて、縦、横、斜めを足した答えが全て同じ数字になるように数字を当てはめる図形だ。
組み合わせ次第で答えが無限と出てくる。それをを魔術を使う者は“コード”と呼ぶ。それを自分の魔術のスイッチとして使う。
答えは無限にあるためそのコードは自分の物となる。
そうだな…、魔術が弾丸だとしたら魔方陣は銃だ。どんなに弾が強力な物だとしても銃に弾が合わなかったら使えないだろう? 魔術という弾があっても銃がなければ弾は撃てない。魔方陣という銃があっても弾がなければ意味がない。
まっ、魔方陣と魔術はセットじゃないと使えないという事だ」
文字数多くて半分近く理解不能。
大体は分かったけど。
「……なんて言うのは全くの嘘っぱちだ」
「ハァ!?」
「魔界の偉い魔術師達はそう言ってるけどね、実際魔方陣なんてどうでもいいんだ。別にいちいち魔方陣を変える必要なんてない。コードだってなんだっていい。魔術を変える度に魔方陣を真面目に変える奴なんてあまりいないよ」
「なんだってそんなことを……」
「お偉いさん達はね、そう言う事で魔術を解明したように振る舞いたいだけなのさ。正直言って魔術の事なんて詳しく解明されてないんだよ。日々魔術は進化してるからな」
「……納得いかねぇ」
「納得しなくて結構。とりあえず魔方陣はなんだっていいと覚えておけ」
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