...雨宿り...

12/31
前へ
/31ページ
次へ
「起きたか」  ガチャリとドアが開き、透が部屋に入ってくる。  シャワーを浴びてきたらしく、湯気の立つ身体をパジャマで包み、首元にタオルを掛けている。 「…おはよう」 「おはようじゃねえよ」  なんて言っていいかわからず、とりあえず起き出しなのでそういうと透が不機嫌そうに返した。 「具合はどうだ?」 「へ、ああ…頭痛い」  問われてそう答えると、そうだろうなと透が呟く。 「三十八度二分。お前何時間あそこにいたんだよ」 「うわ、俺そんなに熱あんの?」  自慢じゃないが、健康体な生駒は風邪ひいても熱を出すことは稀だった。そんなに高熱が出たのはインフルエンザの時以来か。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1112人が本棚に入れています
本棚に追加